高市・野田氏、推薦人が課題=女性出馬で党内「刷新感」期待―自民総裁選
自民党内で、9月に予定される党総裁選を巡り、女性候補の待望論が根強い。派閥裏金事件の逆風が続く中、初の「女性首相」誕生の可能性を示し、刷新感を演出する狙いからだ。2021年の前回に続き、高市早苗経済安全保障担当相や野田聖子元総務相が出馬を模索するが、必要な20人の推薦人確保が課題となっている。
総裁選への意欲を隠さないのは高市氏だ。7月に新著「日本の経済安全保障」を出版。全国各地を講演して回り、X(旧ツイッター)には大勢の聴衆と共に撮影した写真が並ぶ。さらに、総裁選をにらんで昨年立ち上げた勉強会の成果を、書籍として今月下旬にまとめる予定だ。
野田氏も立候補を視野に入れる。7月24日夜に渡海紀三朗政調会長、浜田靖一国対委員長らと東京都内のホテルで会食。渡海、浜田両氏は前回、野田氏の推薦人を務めており、総裁選を意識した行動なのは明らかだ。
前回は結党以来初めて、複数の女性候補が競う総裁選となった。党関係者は「今回も女性は必須だ。多様な議論で政党としての活力を見せないといけない」と強調する。
ネックは推薦人だ。高市氏は前回、安倍晋三元首相の支援を受けて善戦した。その死去で後ろ盾を失い、勉強会の参加者は毎回、十数人程度にとどまった。同じ保守系の青山繁晴参院議員も立候補の意向を明言。支持層が重なるだけに、仲間集めはさらに苦戦しそうだ。
野田氏も前回、二階派や竹下派(当時)の協力を得て、告示前日に出馬表明にこぎ着けた。今回、推薦人になり得るのは現状で「12~13人」(周辺)といい、20人の確保は見通せない。
高市、野田両氏以外では、上川陽子外相の名前も取り沙汰されている。麻生太郎副総裁が持ち上げたことで一躍「ポスト岸田」に浮上。ただ、選挙応援で「うまずして何が女性か」と発言し批判を浴びるなど、期待は急速にしぼんでいる。上川氏は岸田派所属で、岸田文雄首相(総裁)が再選を目指す中、立候補は困難との見方がもっぱらだ。
女性候補のめどが立たない状況に、党内からは「推薦人を貸してでも出馬させた方がいい」(幹部)との声も漏れる。
[時事通信社]
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