2024-08-11 21:58社会

偶然の出会いで自転車の道に=ケイリン太田選手、決勝逃す〔五輪〕

初出場のロードレース大会で優勝した太田海也選手(右)と恒次智さん=2019年3月(恒次さん提供・時事)
初出場のロードレース大会で優勝した太田海也選手(右)と恒次智さん=2019年3月(恒次さん提供・時事)

 惜しくも決勝進出を逃した自転車トラック男子ケイリンの太田海也選手(25)=楽天Kドリームス。たまたま訪れた自転車店のオーナーとの出会いが競技を始めたきっかけだった。
 岡山県出身の太田選手は、高校までボート競技に熱中し、インターハイで優勝するなどした。だが、大学進学後、腰痛に苦しみ競技を断念。退学して地元に戻った。
 自転車のパーツ交換のため、岡山市内の自転車店「フリーダム」を訪れたのは、2018年末頃。ボートを諦めざるを得なくなり、「ふらふらしている」と話す太田選手にオーナーの恒次智さん(47)は「今、スタッフを募集しているけど、どう?」と声を掛けた。
 働き始めて2カ月ほどたった頃、太田選手は恒次さんに勧められて出場したロードレース大会で、いきなり優勝した。「わずかな練習期間で優勝、あり得ない」。恒次さんはポテンシャルの高さに舌を巻いた。
 太田選手は朝練の後に自宅から店までの片道約20キロを自転車で通うことが日課に。実業団向けの大会で上位の成績を収めるようになった。
 21年に日本競輪選手養成所に入校するに当たり、約2年働いたフリーダムを辞めた。恒次さんは「お客さんからの評判が良く、店としては痛手。けれど、一青年の夢を後押ししたかった」と振り返る。
 立ち直るきっかけを与えてくれた恒次さんの期待も背負い、プロの競輪選手となった太田選手。デビュー2年余りで大舞台への切符を手にしたが、力及ばなかった。 
[時事通信社]

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