伝統競技の重い扉、ついに開く=佐藤が歴史的銀メダル―近代五種男子〔五輪〕
両腕を広げて表彰台に上がり、天を仰ぐと涙があふれた。近代五種男子の佐藤が、銀色に輝く日本勢初メダルをつかみ取った。「今までやってきたことは間違いじゃなかった。こんな最高の日は、人生で一度きりかもしれない」。ベルサイユ宮殿を遠くに望み、重い歴史の扉を開いた。
最後の射撃・ランを4位でスタート。その大勝負に臨む直前には、緊張から膝に手をやり2度吐いた。だが競技に入れば、昔は左に外れてばかりだった射撃で、右寄りを意識する技法がさえた。「自信しかなかった。いつもの位置へ、真っすぐ引き金を引けた」。ここでぐんとメダルへ近づいた。
口癖がある。「死ぬ気でやる」。取っ組み合いのけんかもした父勇蔵さんから受け継いだ大切な言葉だ。2019年の全日本選手権で敗れて引退を考えた際、ただ一人引き留めてくれた。今は病床にある父と、今回の結果を喜び合いたい。「おちょこ一杯だけお酒を付き合って」と伝えたいという。
近代五輪の父と呼ばれるクーベルタン男爵が提唱し、五輪に採用されて112年。佐藤は報道陣を見つけた瞬間、「歴史つくりました」と叫んだ。5種目をこなす過酷な疲れを癒やすのは、妻梢さん特製のだし巻き卵での晩酌。「日本人初のメダルを取れて誇り。本当に最高」という歓喜のまま酔う。 (時事)
[時事通信社]
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