豪でたばこの闇市場拡大=増税影響、日本から密輸も
【シドニー時事】オーストラリアで、たばこの闇市場が拡大している。増税でたばこ価格が高騰し、密売や密輸が横行。反社会的勢力の資金源にもなっている。当局は取り締まりを強化しており、日本から大量に密輸しようとした「運び屋」が摘発された事例もある。
豪政府は喫煙率を下げるため、たばこ増税を進めている。現在は1本当たり約1.28豪ドル(約120円)で、輸入品にも同程度の関税が課される。代表的銘柄の価格は1箱25本入りが約50豪ドル(約4900円)と、ここ10年で2倍超に跳ね上がった。
これに対し、課税を逃れた闇たばこは正規品の半値程度。低所得者層の喫煙率は17%で豪州全体の11%より高く、割安な闇製品に手を伸ばす傾向が強いとされる。
闇たばこは利幅が大きく、背後でマフィアが暗躍。南東部ビクトリア州では昨年10月以降、マフィアの抗争とみられるたばこ店への放火が40件以上起きた。国境警備隊幹部は「闇たばこの収益が、麻薬や銃器絡みの犯罪の資金に充当されている」との見方を示す。
今年7月には最大都市シドニーと西部パースの空港で、計10人の日本人がたばこをスーツケースに詰め密輸しようとしたことが相次いで発覚。当局に計36万本のたばこを押収され、入国を拒否された。摘発された男の1人は「報酬を得るはずだった」と供述した。密輸は海路も含め、広くアジアや中東から行われており、2021年には7億本以上が押収された。
[時事通信社]
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