マウイ島火災1年で追悼式典=復興誓う、生活再建は道半ば―米ハワイ
【ラハイナ(米ハワイ州)時事】米ハワイ州マウイ島で102人が犠牲になった山火事から1年。壊滅的な打撃を受けた西部ラハイナで8日、追悼式典が開かれた。自治体トップらは復興を誓ったが、住民らの生活再建への道のりは長い。家族や思い出を猛火に奪われ、住居も定まらず不安を抱えながら被災生活を続けている人々もいる。
山火事は昨年8月8日に発生。乾燥と強風で急速に火の手が広がり、ラハイナの市街地を炎に包んだ。住宅や学校、企業など3971棟が損壊。物的損害は60億ドル(約8800億円)に上り、米史上最大級の山火事となった。
1年たった今も、火災の原因は明らかになっていない。マウイ郡のリチャード・ビッセン郡長は8日の記者会見で、連邦当局の調査が完了しておらず、「先取りして話すことはできない」と述べるにとどめた。
ラハイナの市民センターで開かれた式典は、被災者に配慮しメディアに非公開だったが、その様子がSNSで配信された。ジョシュ・グリーン知事はあいさつで「復興のため、できる限りのことをする」と表明。バイデン大統領は「私の政権は、すぐそばにいる」とのメッセージを寄せた。
だが、被災者の生活再建は道半ばだ。小高い丘から市街を見下ろすと、焼け残った建物の外壁などは取り除かれ、更地が広がる。仮設住宅の建設も進んでいるという。一方、マウイ郡の住民2000人超を対象にした州農村保健協会の調査によると、約6割が被災後に3回以上の転居を余儀なくされた。生活の足場はまだ不安定だ。
ジェイコブ・フェルナンデスさん(22)も、家族で暮らしていた家を失い、ホテルを転々とした。火災前から家賃が高騰し、「市場には手が届く部屋がなかった」と語る。運よく友人の借りていたコンドミニアムを引き継いで借りることができたが、十分な資産を持たない層に対する州や郡の住宅支援は不十分だと感じている。
かつてハワイ王国の首都が置かれたラハイナは、マウイ島でも人気の観光地だった。州当局によれば、2024年上半期に島を訪れた観光客は前年同期比24%減の113万人。観光客の支出は8億ドル(約1200億円)も落ち込んだ。同協会の調査では、経済状況の不安定化などを背景に、被災住民の4割超が島を離れることを検討している。
[時事通信社]
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