先輩の言葉が支えに=起用に応えた張本美―卓球〔五輪〕
1回戦、準々決勝ともに3―0で勝ち上がってきた日本が、初めて試合を失った。卓球女子団体準決勝。張本美は第2試合でカウフマンに完敗した。独特な変化をするサービスに対応できず、ラリーになれば強力なフォアハンドに力負けした。それでもすぐに第4試合に向かわねばならない。「すぐに切り替えてプレーできるのか不安だった」。16歳の心は折れそうだった。
所属先の先輩でもある平野が声を掛けた。「思い切って」。短くも温かいその言葉を、張本美は頭の中で何度も繰り返した。諦めずに戦う気力が湧いてきた。
続く相手はシャン。ペンホルダーから繰り出す多彩な回転が厄介だ。いきなり2―7とされたが、思い切りの良いバックハンドを決めて流れが変わった。8連続ポイントなどで挽回してゲームを奪うと、第3ゲームは1ポイントも与えずに締めた。重責から解き放たれ、「本当にほっとしている」と目に涙を浮かべた。
ダブルスには入らずシングルスで最大2試合を戦うのは、一般的にエースが担う役回り。張本美は1回戦からこのポジションを任され、いつも相手の主戦と戦ってきた。
手負いのまま団体戦を迎えた早田はまだ回復途上にあるが、第5試合までもつれれば再び起用せざるを得なかった。張本美は王者中国との決勝を前に、「思い切って自分のプレーができれば結果はついてくると思う」と自信を深めた。 (時事)
[時事通信社]
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