若手の待遇改善に力点=働き方見直しが急務―人事院勧告
国家公務員総合職の申込者数が減少傾向にある中、人事院勧告は人材獲得競争のライバルである民間企業を意識し、初任給の大幅引き上げなど若手の待遇改善に力点を置いた。新幹線が使いやすくなるよう通勤手当を拡充するなど、個人のライフスタイルにも配慮。一方、「ブラック」ともやゆされる働き方の見直しや、やりがいの感じられる職場づくりは課題として残された。
初任給の引き上げにより、中央省庁に勤務する総合職大卒者の月給は、手当を含めれば28万4800円となる。人事院幹部は「大手企業並みの水準を確保した」と胸を張る。
国家公務員は全国各地への転勤があり得るが、核家族化や共働き世帯の増加で単身赴任が難しい人にも対応した。運賃と新幹線などの特急料金を合わせた通勤手当の限度額を月15万円にアップ。勤務地が東京の場合、静岡をはじめ約200キロ圏内の長距離通勤者が自己負担なしで新幹線を利用できるようになる見込みだ。
一方、人材確保を進めるには、給与面だけでなく働き方改革も必要だ。人事院は、勧告と同時に公表した公務員人事管理に関する報告で今後の方針を表明。残業の縮減に向けて関係各方面への協力を要請するとした。政府や国会の理解を得られるかがカギとなる。
また、若手が仕事のやりがいを感じられる職場づくりが実現できるかもポイントだ。人事院が設置した、各界の有識者で構成する人事行政諮問会議は5月の中間報告で、「政治主導の浸透により、各府省がイニシアチブを取れていないと見られ、魅力的な就職先として認識されなくなった」と指摘した。公務員の仕事の魅力回復も急務となっている。
[時事通信社]
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