「平常時と比べ高まる」=南海トラフ「巨大地震注意」―1週間備えを・気象庁初発表
日向灘を震源とする最大震度6弱の地震発生を受け、気象庁は8日、「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を初めて発表するとともに、専門家で構成する評価検討会(会長・平田直東京大名誉教授)を開いた。南海トラフ沿いで巨大地震が発生する可能性が「平常時と比べて相対的に高まっている」として、「巨大地震注意」の臨時情報を出した。
実際に発生した場合、大きな揺れや津波の被害が見込まれる関東から沖縄にかけての「防災対策推進地域」では、今後1週間、巨大地震に備える必要がある。あらかじめ避難する必要はないが、同庁などは避難場所や経路を確認したり、家具などを固定したりするよう呼び掛けた。
この情報は南海トラフ沿いで巨大地震が過去に繰り返し起き、短期間で続発した例もあることから導入された。ただ、必ず起きると伝える地震予知情報ではない。平田会長は記者会見で「世界の事例ではマグニチュード(M)7以上の地震発生後、1週間以内にM8級以上の地震が起きるのは数百回に1回ぐらい」と説明。それでも「普段より数倍、(地震が)発生する可能性が高くなった」と話した。
備えを呼び掛ける期間は、内閣府で防災対応を検討した際、社会的に受忍できる範囲との理由で「1週間」となった。巨大地震の可能性は徐々に低下すると考えられるが、1週間後にゼロになるわけではないという。
日向灘の地震は、気象庁が速報性を重視して計算する「気象庁マグニチュード(Mj)」で7.1だが、評価検討会は地震の規模をより正確に捉えられるモーメントマグニチュード(Mw)で7.0と判断し、巨大地震注意の発表条件が初めて満たされた。今回の震源は巨大地震の想定震源域の南西端にあるが、静岡県にかけてのどこでも、誘発される恐れがある。
南海トラフでは陸側プレートの下に海側プレートが沈み込んでおり、プレート同士の境界が急に滑ると大地震になる。今回の地震はプレート境界で起きており、他の地域にも影響する可能性がある。
[時事通信社]
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