小林製薬、紅麹事業から撤退=新社長「痛恨の極み」と謝罪―補償申請、19日から受け付け
小林製薬は8日、「紅麹(べにこうじ)」配合サプリメントの健康被害拡大を受け、紅麹事業からの撤退を発表した。サプリ摂取で被害を受けた利用者からの補償申請を19日から受け付ける。8日付で社長に就任した山根聡氏は大阪市内で記者会見し、「あってはならない事態を起こした。痛恨の極みだ」と謝罪した。
撤退の理由について、山根氏は「事業をやり抜く力があるかを冷静に考えた」と説明。同社への信頼は失墜しており、「当社の歴史において最大の難局」との認識を示した。同日付で補償担当取締役となった小林章浩前社長も会見に同席して謝罪。その上で「創業家として責任を持って、粉骨砕身、業務に身をささげる」と述べた。
この問題で小林製薬は、1月に最初の健康被害の症例報告を受けてから公表までに2カ月以上を要した。サプリ摂取との関連が疑われる死亡者の数を厚生労働省へ過少に報告していたことが明らかになるなど、一連の対応は批判を浴びた。サプリ摂取との因果関係が疑われる死者は100人を超えた。山根氏は「品質への意識が足りなかった」とした上で、「補償や再発防止策を実施し、信頼回復に向けて全力を挙げて取り組むことが最優先だ」と強調した。
7月に会長を引責辞任した小林一雅特別顧問は会見に出席しなかった。一雅氏には小林製薬が特別顧問料として月200万円を支給することが明らかになり、社外から批判の声が上がった。山根氏は「(会見不在は)本人の決断。私は説明責任を果たすべきだと思う」と述べるにとどめた。
8日発表した2024年6月中間連結決算は、純利益が前年同期比81.7%減の14億3600万円となった。5月に撤回した24年12月期連結純利益予想は前期比40.5%減の121億円と大幅減益を見込む。
[時事通信社]
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