総裁選控え、改憲アピール=岸田首相「自衛隊明記で国民投票」
岸田文雄首相(自民党総裁)は7日、党本部で憲法改正実現本部の全体会合に出席し、緊急事態条項に加え憲法9条への自衛隊明記をテーマとする国民投票の実施を目指す考えを示した。総裁選を控え、党是の改憲に対する決意をアピールし、保守派を取り込む狙いとみられる。
首相は「憲政史上初の国民投票にかけるなら、緊急事態条項と合わせて自衛隊の明記も含めて国民の判断をいただくのが重要だ」と強調。「来年は結党70年を迎える。大きな節目に向けて、長年の懸案である党是の改憲について議論をお願いする」と呼び掛けると、出席者は拍手で応じた。
会合では、議員任期特例の条文化と自衛隊明記などに関する論点整理を行う二つの作業部会新設を決定。衆院議員と参院議員で見解に隔たりがあった緊急事態への対応に関し、現行憲法において参院の緊急集会は「唯一の緊急事態条項」と位置付ける文書を了承した。
首相は2021年の前回総裁選で安倍派など保守系の支持を得るため、今年9月までの総裁任期中に改憲を実現すると訴えた。会合では自衛隊明記などの論点整理について、今月中に行うよう指示。内閣支持率が低迷し、公然と退陣を迫る声も出る中、新たに「結党70年」という目標を設定し、改憲を「再選の柱」(党幹部)に据える思惑ではないかとの見方もある。
「ポスト岸田」候補では、高市早苗経済安全保障担当相は改憲の急先鋒(せんぽう)で、石破茂元幹事長も「9条2項を変えなくては駄目だとずっと言ってきた」と唱え、総裁選の争点とする考えを示している。
7日の首相発言について、保守派ベテランは「支持者から電話がいっぱいあった」と評価。一方、「3年間何をしてきたのか。本気でやりたいなら十分な時間があった」(中堅)と冷ややかな声も漏れている。
[時事通信社]
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