体験継承への思い語る=被爆者ら、平和へ祈り―広島
原爆投下から79年を迎えた6日、広島市中区の平和記念公園には未明から被爆者や遺族らが訪れ、原爆死没者慰霊碑の前で祈りをささげた。被爆者が高齢化し減少する中、被爆体験を継承することへの思いも多く聞かれた。
中原里枝さん(80)=同市西区=は、1歳の時に爆心地から2キロで被爆。両親や兄を原爆症で亡くした。「多くの亡くなられた方のみ霊を無駄にしてはいけない」と涙を浮かべた。
4歳の孫らと共に手を合わせた会社経営、田中一範さん(66)=同区=は、「鎮魂の雰囲気を体験させるのが大切だと思った」と話す。叔父が旧制中学校の学徒動員で原爆ドームの近くで被爆して亡くなったという。「こういったことが起こらないよう、悲しむ人がたくさん生まれないようになるのが一番だ」と語った。
同区の児玉孝子さん(75)は、被爆後に亡くなった両親を思って祈った。母は爆心地から1キロ付近にいて大やけどを負い、父も投下翌日に市内に入って被爆した。存命中は当時の状況についてあまり話を聞けなかったといい、「もうちょっといろんなことを聞いておけば良かった」と振り返る。
父が被爆した飲食業、木村拓司さん(56)=同区=は、核兵器廃絶が進まない現状について「広島、長崎の人がいかに世界に発信できるか」が重要だと語る。被爆者の高齢化が進む中、「被爆2世、3世がどう受け継いで発信していけるかにかかっている」と話した。
[時事通信社]
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