「より若い世代に声残す」=元高校生平和大使、核廃絶訴え活動―大学2年大内さん・広島原爆忌
国内外で核兵器廃絶などを訴える「高校生平和大使」を務めた後、平和活動に取り組む団体を立ち上げた学生がいる。広島市立大2年の大内由紀子さん(20)=同市安佐南区=だ。戦後79年がたって被爆者が減少する中、「消えつつある声を自分よりも若い世代に残していきたい」という思いで活動している。
活動に興味を持ったきっかけは、小学4年で訪れた平和記念資料館。写真に写る頭髪の抜けた子どもが、自分と同い年だったことが印象に残った。「自分だったらと想像したら、生まれ育った県で起きたことについて、もっと自分ごととして考えたい」と思った。
海外での活動に憧れがあり、高校2年だった2021年に平和大使に応募。核兵器廃絶を求める署名を集め、軍縮会議が開かれるスイス・ジュネーブの国連欧州本部に提出するのが主な活動だが、コロナ禍で渡航はかなわなかった。
「思い描いていたような活動はできなかった」と悔しさを抱えていた中、翌22年の核兵器禁止条約第1回締約国会議に合わせ、35人いた高校生平和大使の代表としてオーストリア・ウィーンに派遣された。世界各国の若者による交流イベントに参加し、英語でスピーチ。コロナ禍で平和大使の活動が制限されていただけに、「いろいろな国の方と交流できて、すごく胸が熱くなった」。
大学へ進学した昨年4月、学生による平和活動団体「Connect Hiroshima」を設立した。進学を機に活動から離れる人が多いことから、「学生が中心となった団体があれば、いろいろな人に関わってもらえるのでは」と考えた。団体名はウィーンで印象的だった「つながり」という言葉にちなんだ。
同年11月に開かれた同条約第2回締約国会議へのオブザーバー参加を日本政府に求める署名活動を行い、約4万3000筆を外務省に提出。米ニューヨークを訪れて会議を傍聴したほか、被爆者から聞いた体験談を、諸外国の外交官に話すなど積極的に発信した。
現在は長崎の学生団体と連携し、来年の被爆80年に向けたプロジェクトを進めている。自分と考え方が違う人と話すことを諦めずに、対話を心掛けてきたという大内さん。「日本政府が先頭に立って核廃絶に向けた声を世界で上げてほしい」と願っている。
[時事通信社]
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