豊富な海外経験で成長=初の五輪で金メダル―フェンシング・飯村選手〔五輪〕
フェンシング男子フルーレ団体で金メダルを獲得した飯村一輝選手(20)=慶大=は五輪初出場。豊富な海外経験で剣に磨きをかけ、パリの大舞台を突き進んだ。
京都府出身の大学3年生。3きょうだいの長男で、五輪メダリストの太田雄貴さん(38)を指導した父栄彦さん(47)の下で練習を続け、太田さんと同じ中学、高校に進んだ。
「普段はアスリートじゃないんじゃないか、というくらい優しい」。栄彦さんは飯村選手について、そう評す。その性格が故か、試合の立ち上がりで消極的になることが多かったという。
だが、海外での経験を重ねるうちに「優しさが出にくくなり、剣を握ると性格がガラッと変わる」ように。栄彦さんは「フェンシングは対人競技。ずる賢さがないと勝てない」と笑う。
飯村選手は海外経験が豊富だ。中学生の時から、各国を駆け回って試合に出場してきた。授業に出られないこともしばしばで、飛行機の中で勉強し、帰国翌日に期末試験に臨むこともあった。栄彦さんによると、「勉強で負けるのも嫌だ」と話していたという。
そんな飯村選手も、中学2年の時、試合で勝てなくなったことがあった。栄彦さんは当時を振り返り、「『身長が低いから力で勝てない』と言い訳をしていたんだろう」と話す。自分の特性を磨くことに集中させると好転したといい、「身長が伸びる時期と重なり、中3で日本代表を決める試合に出てから突然勝ち始めた」と懐かしむ。
2人は離れて生活しているが、月に何度かは一緒に焼き肉やすしを食べるという。「会えばずっとフェンシングの話ばかり。とても幸せです」と栄彦さん。父子で交わす話題に、パリのメダルが加わった。
[時事通信社]
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