2024-08-04 07:32社会

スランプ乗り越えパリに=プライドと意地掛け―競泳主将・水沼選手〔五輪〕

男子100メートルバタフライ決勝で力泳する水沼尚輝選手=3日、パリ
男子100メートルバタフライ決勝で力泳する水沼尚輝選手=3日、パリ

 競泳男子100メートルバタフライで8位入賞した水沼尚輝選手(27)=新潟医療福祉大職=はスランプを乗り越え、五輪の舞台に立った。競泳代表チーム主将は日本記録保持者としてのプライドと意地を掛け、決勝に臨んだ。
 大学4年で初めて全国制覇した遅咲きスイマーの持ち味は、ここぞという時の集中力と瞬時のパワー。体が柔らかく、肩全体から腕が自然に大きく動くという。
 祖父の自宅にある池でコイと一緒に泳ぎ、風呂の中ででんぐり返しをして育った少年は、小学1年生の時、水泳教室に通い始めた。
 6年間指導した大畑豊コーチは「中学時代は遊び半分という感じで、オリンピックを目指すような選手ではなかった」と振り返る。練習に集中できず注意したこともあったが、合宿や遠征ではスピーチをしたり、仲間に積極的に声を掛けたり、リーダーシップを発揮する場面もあった。
 後にリオ五輪金メダリストとなる萩野公介さんが在籍していた作新学院高校(宇都宮市)に進学。強豪選手の刺激を受けながら本格的に水泳に取り組み、さまざまな種目で全国大会に出場した。
 バタフライに絞ったのは高校3年の時だ。進学した新潟医療福祉大(新潟市)で下山好充監督の指導の下、大学4年で日本選手権を制した。下山監督とは卒業後も二人三脚で歩み、東京五輪は準決勝で敗退したものの、2022年の世界選手権の準決勝で日本新記録をたたき出し、銀メダルを獲得した。
 だが、4カ月後、腰痛に苦しめられるように。「思う泳ぎと実際の泳ぎがバラバラになってしまった」。翌年の世界選手権で予選落ちの屈辱を味わうなど、スランプに陥ったが、自分の可能性を疑い、信じながら突き進み、きょうを迎えた。 
[時事通信社]

2歳の水沼尚輝選手(家族提供)
2歳の水沼尚輝選手(家族提供)

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