地道な技、折れない心=周囲が語る「永瀬最強」説―柔道〔五輪〕
海外勢の層が厚い柔道男子81キロ級。この階級で五輪史上初の連覇を果たした永瀬には、66キロ級の阿部一二三のような豪快な投げ技はない。それでも五輪2大会を制した73キロ級の大野将平さんをはじめ、永瀬を最強とみる柔道家は多い。
筑波大の先輩で乱取りの相手となってきた日本代表の小野卓志コーチは、その強さを「自分の打つ手が全部ふさがれていく感覚」と表現する。長いリーチで肩や肩甲骨も使って組み手をずらされ、「だんだん(気持ちが)削られて、最後に投げられる」。派手な技はなくても、徐々に気力と体力を奪われるという。
長崎日大高の恩師、松本太一監督は永瀬が身に付けた「立ち位置」こそが最大の武器だと明かす。30~45度の角度に立ち続け、相手が無理に正対しようとしてバランスを崩したところを仕留める姿を、「技は切れないが、地味に強い」と説明する。
日本代表の鈴木桂治監督は「本当にものすごく練習をする人間で、国際大会後に『頼むから1週間休んでくれ』とお願いするぐらい柔道が好き」と舌を巻く。妥協を許さずに積み上げてきた下地が王者の柔道を支えている。
永瀬は初出場の2016年リオデジャネイロ五輪では銅。3大会でメダルを取り続けられた理由を「つらい時もうまくいかない時も、結局はやるしかない。しっかり逃げずに向き合うことが大事」と話した。何より芯の強さを生かして、「最強」説を証明してみせた。 (時事)
[時事通信社]
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