日銀、0.25%に利上げ=政策金利、16年ぶり水準―物価目標に自信、円安考慮・植田総裁
日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利である短期金利(無担保コール翌日物レート)の誘導目標を「0~0.1%程度」から「0.25%程度」に引き上げることを決めた。8月1日から適用する。利上げは、3月のマイナス金利政策の解除に続き今年2回目で、政策金利は約16年ぶりの水準に上昇する。同時に決定した国債買い入れ額の段階的縮小と併せ、金融政策の正常化が一段と進むことになる。
植田和男総裁は会合後の記者会見で利上げを決めた理由について「経済・物価は見通しにおおむね沿って推移している」と強調。物価上昇率を2%で安定させる目標を達成できる確度が高まっており、「金融緩和の度合いを調整するのが適切だ」と説明した。歴史的な円安の影響についても「(物価を押し上げる)上振れリスクがかなり大きいと評価し、政策的な対応を打った」と述べ、判断材料の一つに挙げた。
政策金利の誘導目標は、リーマン・ショック後の2008年10月末から12月中旬まで続いた「0.3%前後」以来の水準となる。今回の利上げにより、変動型住宅ローン金利の引き上げなど家計・企業にも影響が及ぶ見通し。
これに関連し、植田氏は景気に与える影響について「(政策金利は)非常に低い水準で、強いブレーキが景気にかかるとは考えていない」との認識を示した。物価高で低迷する個人消費については「賃上げが一段と進み、賃金・所得の増加が支える」と述べ、利上げの障害にはならなかったと指摘した。
国債の買い入れ額は、現在の月間6兆円程度から26年1~3月に月間3兆円程度になるよう、3カ月ごとに4000億円程度のペースで減らしていく。減額計画については、25年6月の決定会合で中間評価を行い、26年4月以降の方針を検討する。異例の大規模緩和の下で約600兆円に膨らんだ国債保有残高を本格的に圧縮する「量的引き締め」局面に移行する。減額による債券市場への影響については「金利上昇圧力は大したものではない」と語った。
植田氏は、今後の金融政策運営に関しては「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げていくことになる」と述べた。ただ「年内にもう一段の金利調整があるかどうかは、これからのデータ次第」と強調した。
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