2024-07-31 16:04スポーツ

河村、悔やまれるワンプレー=試合支配も判定に泣く―バスケット男子〔五輪〕

男子1次リーグのフランス戦でプレーする河村=30日、リール(ロイター時事)
男子1次リーグのフランス戦でプレーする河村=30日、リール(ロイター時事)

 日本が4点をリードして迎えた残り10秒。3点シュートを狙う相手に河村は目いっぱいのジャンプで対応した。絶対にファウルをしてはいけない状況。相手に接触せずに跳んだつもりだったが、無情にも審判の笛が吹かれ、ボールはリングに吸い込まれていった。
 同点のフリースローを決められたチームは延長戦で力尽き、五輪では不戦勝を除き52年ぶりとなる勝利が消えた。微妙な判定に泣いた河村は「レフェリーが全て。微妙なコンタクトをした自分が悪い」と言い訳はしなかった。
 第4クオーター序盤に大黒柱の八村がファウル退場。絶体絶命のピンチでチームを引っ張った。29得点、6アシスト、7リバウンド。試合後にはフランス選手が次々と握手を求めに来た。23歳の司令塔がゲームを支配していた何よりの証拠だった。
 河村には心に刻む言葉がある。「苦労は買ってでもしろ」。父の吉一さんの教えだ。「簡単な道を行くよりは、自分がより成長できる方を選びたい。苦しい経験が、バスケ人生に生かされる」。山口県の親元を離れてバスケの名門、福岡第一高への進学。強豪東海大を中退してのプロ契約。五輪後に控える無保証の契約での米プロ協会(NBA)挑戦。いつだってその信念を貫き、壁にぶち当たるたびに成長の糧としてきた。
 一夜にして天国と地獄を味わった経験は、若き逸材をまた大きくするに違いない。試合後、河村は言った。「いい勝負をしに来たわけではない。勝ちに来た」。惜しかった、で終わるつもりは毛頭ない。8月2日のブラジル戦では、必ず歴史的勝利をつかみ取る。 (時事)
[時事通信社]

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