2024-07-27 19:07スポーツ

「平和への化学反応を期待」=競泳元日本代表、井本直歩子さん―パリ五輪・リレーコラム〔五輪〕

東京五輪の聖火引き継ぎ式を終え、聖火がともるランタンを掲げる井本直歩子さん=2020年3月、ギリシャ・アテネのパナシナイコ競技場
東京五輪の聖火引き継ぎ式を終え、聖火がともるランタンを掲げる井本直歩子さん=2020年3月、ギリシャ・アテネのパナシナイコ競技場

 パリ五輪におけるサステナビリティ(持続可能な大会)への取り組みは、これまでで最も進んでいると思う。大会全体が脱炭素化を目指しており、環境への配慮が重視されている。特に注目しているのは大会PRだけで終わらせていない点。プラスチック使用の削減や食材の地産地消の徹底は、レガシー(遺産)として将来に残そうとする意識が感じられる。
 私が1996年アトランタ大会に出場した頃は、環境に関する取り組みはそれほど聞かなかった。当時の私は特に平和への関心が強く、(大虐殺があった)ルワンダの選手が大会に来ていることを新聞で知り、心が高揚した。五輪はスポーツを通じて世界平和や環境問題に対する意識を高め、人類の在り方への模索を示す重要な機会になる。
 ロシアとウクライナの問題では、五輪の場でも対立姿勢や憎しみを完全に消すことはできないだろう。それでも、スポーツを通じた平和の促進を諦めないことが大事。ポジティブな化学反応が起こることを期待する。
 私は現在、スポーツを通じた環境問題やジェンダー平等に取り組んでいる。スポーツには、政治や企業ではアプローチが難しい層にも影響を与える力がある。その力を活用し、社会課題の解決に貢献することが目標。
 パリ五輪を通じて、多くのファンや視聴者には大会が示す持続可能な未来に目を向けてほしい。そうした取り組みから、地球環境への意識が高まることを願う。
 私も環境プロジェクトのため、パリ・パラリンピックは現地を視察する予定。これまでパラ競技を生で見る機会があまりなかったので、多くの競技を観戦するのを楽しみにしている。
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 井本 直歩子さん(いもと・なおこ)1996年アトランタ五輪競泳代表。英国で貧困や紛争を学び、国連児童基金(ユニセフ)などで途上国の平和構築や教育支援に携わった。一般社団法人「SDGs in Sports」代表理事。東京都出身。48歳。 (時事)
[時事通信社]

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