観光客増へ、準備着々=環境保護との両立課題―佐渡
世界文化遺産登録が決まった「佐渡島(さど)の金山」がある新潟県佐渡市では、年間の宿泊者数が1.2倍となり、全体の経済効果は520億円と試算している。島内では交通手段や宿泊施設不足の解消に向けた動きが進む一方、住民の生活や自然環境保護との両立が課題となっている。
佐渡市の試算によると、世界遺産登録を受けて8月の宿泊者数は例年より2割多い1日約2600人に増加する見込み。市内の宿泊施設は計約4000人が収容可能だが予約は人気施設に偏る傾向があり、「施設によってはガラガラ」(市内の民宿経営者)との声も聞こえる。
このため、市は観光客を分散させようと、観光シーズンを11月まで延ばす取り組みを展開。8月下旬から11月にかけてレンタサイクルを無料で貸し出すほか、10~11月には、砂金採りなどの体験型旅行プランと島まで往復するフェリー乗船券のセットに、島内での買い物などに使える2000円相当のクーポン券を付ける予定だ。
路線バスが少ない上に、夏休み期間中はレンタカー不足が課題となっていた島内の交通手段にも新しい動きが出ている。島西岸にある金山周辺エリアでは4月下旬から循環バスが運行。今月26日からは、両津港と金山地区を結ぶ「世界遺産ライナーバス」も1日3本走り始めた。
一般社団法人「佐渡観光交流機構」経営企画室長の山本尚代さん(44)は、「レンタカーを増やすより、乗り合いの交通手段の方が環境に優しい」と指摘。島の人々の生活や農業、国の特別天然記念物トキの存在などを挙げ、「(島を)守ることと、生かすこととのバランスを考えなければいけない」と話している。
[時事通信社]
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