現職マドゥロ氏、劣勢変わらず=強権発動の観測も―ベネズエラ大統領選、28日投票
【カラカス時事】南米ベネズエラで28日、大統領選の投開票が行われる。3選を目指す反米左派ニコラス・マドゥロ大統領(61)と、野党連合候補の元外交官エドムンド・ゴンサレス氏(74)による事実上の一騎打ち。約800万人が国外脱出する経済危機で、マドゥロ氏は選挙戦序盤から劣勢に立たされているが、強権を発動し大統領の座を死守するとの観測も根強い。
ベネズエラは、中国、ロシア、イランなど強権国家と関係を強化し、米国と対立。政権交代なら、外交関係の見直しにもつながりそうだ。
主要野党が統一候補として擁立したゴンサレス氏は、親政権派と反政権派に分断した国内の「和解」を訴えて支持を拡大。調査会社ORCコンスルトレスによると、支持率は6割近くに達し、10%台で低迷するマドゥロ氏を引き離している。政権によって出馬を阻止された人気の野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏(56)が全面支援し、知名度不足を克服した。
ベネズエラは産油量減少で政府が収入減に見舞われる中、社会主義的な政策を続け財政が悪化。ハイパーインフレなど経済危機に陥り、有権者の間で政府への不満が高まっている。マドゥロ氏は、経済危機が米国の制裁によるものと主張。自身が敗れれば「住宅供給プログラムが破壊される」と、貧困層が中心の支持者に訴えた。
選挙戦終盤には「血の海や身内が殺し合う内戦に陥りたくなければ、大きな成功を確保しなければならない」と述べ、選挙結果次第で実力行使もあり得ることを示唆した。司法を含め全権を握るマドゥロ氏は、マチャド氏の出馬阻止に加え、野党関係者を多数摘発。投票を混乱させたり、得票数を操作したりするのではないかとの見方も浮上している。
一方、公正な選挙を求める外圧も高まっている。友好国ブラジルのルラ大統領は22日、マドゥロ氏の発言について「恐ろしい」と不快感を表明。同国は選挙監視のため、外交顧問のアモリン元外相らを派遣する。ベネズエラとの対話を今月再開した米国も「競争ある選挙」の実施を要求している。
[時事通信社]
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