国民民主、強気の姿勢=政権維持へ協議「綱渡り」
自民、公明両党は8日、「部分連合」による政権維持を目指し、国民民主党と政策協議をスタートさせた。国民民主は衆院選の目玉公約だった「年収103万円の壁」見直しを2024年度補正予算の段階から実現するよう迫るなど、初日から強気の姿勢だ。要求のハードルは高く、政府・与党は対応に苦慮している。
「期待してくれた人に応えるため、手取りを増やす経済政策を何が何でも実現したい」。国民民主の玉木雄一郎代表は8日の記者会見で、所得税の非課税枠を103万円から178万円に引き上げることに改めてこだわりを示した。
国民民主は8日の協議で、総合経済対策と補正予算の取りまとめに向けた要望書を提出。「103万円の壁」の見直しに加え「ガソリン減税」も明記した。ともに25年度税制改正の焦点と目されていた課題だが、補正予算段階から何らかの措置を前倒しで実施するよう迫った形だ。
政府が14日の総合経済対策取りまとめを目指す中、国民民主も「満額回答」を期待しているわけではない。要望書の原案には「年末調整による補充を実施」などの「落としどころ」も書かれていた。しかし、弱気は見せられないとして、実際の要望書からそれらはすっぽりと抜け落ちた。
少数与党の石破政権にとって、補正予算を巡る協議は、国民民主との「部分連合」で政権の命脈を保てるかの試金石だ。初日の協議ではあえて意見を言わず、税制調査会長を交えた協議を来週から始めることで合意した。自民関係者は「答えは見えないが、知恵を絞るしかない」と話す。
ただ、補正予算を巡って一致点を見いだせたとしても、25年度税制改正の段階になれば国民民主が要求を強めてくるのは確実。一方で「103万円の壁」見直しによる減収は、国と地方を合わせて7兆~8兆円とも見積もられ、各地の自治体からも不安の声が続出している。政府内ではガソリン減税にも否定的な意見が強く、政府関係者は「綱渡りの交渉だ」と頭を抱えた。
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