夢追う気持ち、国境超えて=難民旗手のヌガンバ―パリ五輪〔五輪〕
金色のメダルを目指す気持ちに、国籍や境遇は関係ない。ボクシング女子75キロ級のシンディ・ヌガンバ(25)が、難民選手団の旗手を担当。国際オリンピック委員会(IOC)を通じ「世界中の無数の人々のために旗を掲げるのは名誉なこと。難民の力を見せたい」とコメントした。
紛争や人権侵害など、故郷を追われる人は年々増加しているとされる。難民選手団は2016年リオデジャネイロ五輪で初めて結成され、10人が参加した。21年東京大会は29人、今大会は37人と世情を反映する。
カメルーン生まれで、幼少期に父のいる英国のマンチェスターに移住した。ロイター通信によると、過去に拘束されて強制送還されそうになった際、母国では違法の同性愛者だと打ち明け、難民に認定された。今は「私の故郷はイングランド」と慣れ親しむ英国で、国籍の取得を希望している。
移住直後は太めの体形や英語の発音でからかわれたことも。苦労が続く中、15歳の時にボクシングに出会った。英国王者に3度輝くなど頭角を現し、今年3月のパリ五輪予選で出場権を獲得。「ボクシングが私の人生を変えた」と感謝する。
華やかなパリの地で望むのは、難民選手団初のメダル獲得。「私の物語と旅が、難民だけではなく、何かを成し遂げようとしている全ての人々の刺激になるといい」。自身の道を切り開いてきた力強さは、リングの中でも同じだ。 (時事)
[時事通信社]
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