2024-07-26 17:38スポーツ

父唯一の教え、武器に=無口な少年、司令塔に成長―バスケ男子主将・富樫選手〔五輪〕

2歳の頃の富樫勇樹選手=1995年9月(富樫英樹さん提供)
2歳の頃の富樫勇樹選手=1995年9月(富樫英樹さん提供)

 バスケットボール男子の主将を務める富樫勇樹選手(30)。幼少の頃からセンス抜群で、エースとして活躍した。父から教わった武器を引っ提げ、初戦のドイツに臨む。
 バスケ指導者として中学、高校で何度も全国制覇に導いてきた父英樹さん(62)の影響で、幼い頃から米プロ協会(NBA)の試合のビデオをよく見ていた。ミニバスケチームで小1から競技を始めたが、ボール運びやシュートフォームは名将の父から見ても「センスがある」と感じさせるものがあった。
 「会話はほとんどなく、バスケは何も教えていない」と英樹さんは言うが、小4の富樫選手に一つのアドバイスをした。初めて息子の試合を見たのがこの頃で、小柄な富樫選手は小6相手にシュートをブロックされていた。
 「タイミングをずらして、浮かせて打ったらどうだ」。富樫選手は今も武器として使うフローターシュートを教わったが、父の指導は一言だけ。だが、練習するそぶりも見せず自分のものにした。英樹さんは「イメージして体現する能力にたけている」と舌を巻く。
 富樫選手は父が監督を務める中学に進み、3年の時にエースとして全国大会を制覇。卒業後は米国の強豪高へ留学した。英樹さんは「留学前はシャイだった。米国でしゃべることを覚えてきた」と笑う。
 無口だった少年は、今では所属するBリーグ・千葉ジェッツでキャプテンを務め、チームの顔となった。2021年秋には「仲間の中でリスペクトされている」として、トム・ホーバス監督から日本代表主将を託された。
 開催国枠で出場した前回大会を除けば、48年ぶりの自力出場となる日本代表。「目標のベスト8にたどり着くためにできることをやっていきたい」。富樫選手はそう決意を固めた。 (時事)
[時事通信社]

韓国との強化試合でシュートを放つ富樫勇樹選手=7日、東京・有明アリーナ
韓国との強化試合でシュートを放つ富樫勇樹選手=7日、東京・有明アリーナ

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