会心FKに成長の跡=藤野、W杯覇者から先制弾―サッカー女子〔五輪〕
ボールをセットし、冷静に周囲を見渡した。スペインと対戦したサッカー日本女子(なでしこジャパン)の藤野あおば選手(20)=日テレ・東京V=は前半13分、ゴール正面から右寄りの位置で得たFKで「蹴りたい」と欲が湧いてきた。横にいた司令塔、長谷川唯選手(27)=マンチェスター・シティー=も背中を押してくれた。
ゆったりした助走から、思い切り蹴ったボールはゴール右上の隅へ。反応したGKが少し触ったが、シュートのパワーが勝った。ゴールネットが揺れる。昨年のワールドカップ(W杯)覇者から先制点を奪ってみせた。会心のFK。感情をむき出しにし、チームメートに派手に祝福された。
藤野が今でも思い出すのが1年前、W杯準々決勝のスウェーデン戦。リードされた終盤、直接FKを蹴ったがクロスバーを直撃した。チームは追い上げも及ばず、8強で散った。「W杯を経て、基礎的なボールを蹴るコントロールは練習し続けた。積み重ねが何となく自信につながっている」
もともとシュートの技術には光るものがあった。昨夏まで日テレ・東京Vで指導した竹本一彦さん(現強化担当)はなでしこのレジェンド、澤穂希さんと比べて「キックの多様性がある」。期待を込めて、そう評価したことがある。
スペイン戦のFKは角度的に「あまり得意にしていなかった」と明かす。「自信が(シュートの)最後の後押しにつながっていればいいかな」。成長の分だけ、威力が増した。
再び世界のトップを目指すなでしこジャパンの戦いは、逆転負けから始まった。それでも「結果を出せたのは自分的にはポジティブ」と藤野。第2戦も活躍して、勝利を引き寄せる。 (時事)
[時事通信社]
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