日本移民に迫害、ブラジル政府が謝罪=戦中の強制退去など
【ブラジリア時事】ブラジル政府は25日、諮問機関「恩赦委員会」を開き、第2次大戦で日本移民に行った強制退去などの迫害について謝罪した。ブラジル政府が日系人に対する過去の弾圧を公式謝罪するのは初めて。戦後79年を迎え、世界最大の日系社会を抱えるブラジルで当時の政権に踏みにじられた名誉が回復されることになる。
大戦時に行われた日系人への人権侵害では、米国、カナダの政府が謝罪している。今回の謝罪はブラジル沖縄県人会などが求めていた。
謝罪は全会一致で決定した。アルメイダ委員長は「日本移民への迫害というブラジル政府の過ちがあったことを認め、ブラジル政府を代表して謝罪する」と表明。日本語でも「先祖迫害の許しを求めます」と述べた。
政府に謝罪を求めてきた日系人の奥原マリオ純さんは「祖父母や両親に対するひどい行為は消し去ることはできないが、この悲劇から学ぶことで再び起きるのを避けられる」と強調した。
ブラジルは1943年7月、南東部の港町サントスの日本移民約6500人を対象に、相次いだ商船の沈没を巡るスパイ通報の疑いで強制退去を命令。移民らは収容所に送られるなどした。戦後は、日本が勝利したと主張する人々の一部を危険分子と見なして摘発。約170人が島の刑務所に送られた。
2002年に設置された恩赦委は、ブラジルが独裁・軍事政権の影響を受けた46~88年に起きた人権侵害を調べ、謝罪や補償を行う。日系人側は金銭的な補償は求めず、迫害が戦中からあったとして強制退去も対象にすべきだと主張した。恩赦委は22年6月、謝罪を拒否する決定を通知した。23年の政権交代を受けて委員が入れ替わり、再審議が決まった。
[時事通信社]
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