セーヌ川開会式「愛伝える」=芸術監督のトマ・ジョリさん―パリ五輪〔五輪〕
パリ五輪・パラリンピックの開閉会式は演出家のトマ・ジョリさん(42)が芸術監督を務める。2020年にフランスのアンジェ国立演劇場の監督となり、若くして多くの賞を受賞している。26日の五輪開会式はセーヌ川が舞台で、夏季大会史上初の競技場外での実施。ジョリさんのキャリアでも最大のイベントになる。「これは前例のないショーだ。全てが順調に進み、準備は整った。いよいよ夢が現実となる」と笑顔を見せる。
フランスで開催された直近の五輪は1992年アルベールビル冬季大会。華やかだったその開会式を演出の参考にしたという。しかし、競技場内での式典とは違いセーヌ川は自然が相手。さまざまな制限も出てくる。ジョリさんのチームは、頻繁に川沿いに出向き、現地の状況などを詳細に観察をしながらつくりあげた。
開会式では「主役は選手」を強調する。選手団は船に乗り、約6キロの行程を“行進”するが、芸術チームは船による演出は行わないという。「最初は船でもと考えていた。しかし、船は選手たちのものだ」とジョリさん。当日は川沿いにある歴史的な名所に加え、両岸、川そのものなど自然も使い演出を行う見込みだ。
パリ五輪のテーマは「オープン」で、誰にでも開かれた大会を目指す。ジョリさんは開会式を通じ「まず伝えたいのは愛だ」と語る。「世の中にはたくさんの亀裂がある。しかし、私たちは皆同じ世界で、同じ星で暮らしている。そして、そこには多様性がある」。お互いを認め合いながら、共存していく世界。そんなメッセージも込めた五輪史上最大規模の開会式がまもなく始まる。 (時事)
[時事通信社]
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