OAいなくても躍動=若き日本、たくましく―サッカー男子〔五輪〕
フランス南西部のボルドーの地で、濃紺のユニホームが幾度となく躍動した。サッカー男子の出場16チームの中で唯一、年齢制限のないオーバーエージ(OA)枠を使わない若き戦士たちが、五輪の日本男子最多記録を塗り替える5ゴールの快勝。開会式に先立ち、これから続く日本勢を勢いづけるように、最高のスタートを切った。
南米予選1位、パラグアイの自在に形を変化させてくるスタイルに序盤は戸惑ったが、落ち着いた試合運びだった。主将の藤田を中心に攻めどころを見極め、三戸が前半に先制点。退場者を出して10人となった相手を後半、4ゴールで突き放した。
五輪は国際サッカー連盟(FIFA)の定める国際Aマッチデー期間外に行われるため、各国ともなかなかベストメンバーをそろえられない。移籍が活発な時期に開催されることも影響した。「最初から五輪とはこういうものだと思っていたけど、イレギュラーがめちゃくちゃある」。大岩監督はそう漏らしたことがある。久保、鈴木唯、鈴木彩、松木―。パリ世代でも呼べなかった選手は多い。
過去の五輪で、中途半端な形でOAの選手を入れてチームの士気を下げた例があったことを、代表関係者はヒアリングで検証した。将来性を秘め、予選を兼ねたU23(23歳以下)アジア杯を団結して戦い切った選手たち中心で挑むことを決めた。
これまで代表活動に参加しながら選ばれなかった仲間もたくさんいる。試合前日には、フランスに来てから負傷した半田が離脱することになった。エース細谷は「みんなも(半田)陸のため、というのがある。ここに来られなかった人たちの分まで、優勝して結果で見せる」。少し涙目で、そう決意を述べた。
五輪でのメダルは、1968年メキシコ大会までさかのぼる。「経験を積みにパリに行くのではない」と出発前、大岩監督は言った。日本サッカーの力を世界に示す戦いが始まった。 (時事)
[時事通信社]
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