「市民の声を聞いて」=広島市長ら、核廃絶訴え―NPT準備委
ジュネーブで開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第2回準備委員会で23日、広島市の松井一実市長が演説し、「(平和を愛する)市民社会の声を無視してはならない」と述べ、核廃絶を訴えた。ロシアによるウクライナ侵攻や東アジア情勢の緊迫化で核リスクの高まりが懸念される中、核兵器の非人道性を改めて世界に訴え、停滞する核軍縮・不拡散の進展を促した。
松井氏は「現在の国際情勢では、核兵器が『条件次第で使える兵器』へと評価が激変しており、極めて遺憾」と核抑止論が広がる現状に危機感を表明。核軍縮に向けた「対話による外交努力」を各国に求めた。
長崎市の鈴木史朗市長も演説し「核兵器は、人間が人間らしく生きる尊厳を容赦なく奪い去る残酷な兵器」と指摘。「長崎を最後の被爆地に」と呼び掛けた。
7歳の時に広島で被爆した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の児玉三智子さん(86)は「国民学校の校舎の中にいた。(原爆の爆発による)ものすごい光と爆風で窓ガラスが飛び散った」と説明。被爆の影響とみられるがんで、両親や弟、自身の娘までも次々に亡くなったと振り返り、「再び被爆者をつくらないで」と訴えた。
原水爆禁止日本協議会(原水協)の土田弥生さん(67)も「今こそ被爆者や市民の声を聞く時だ」と述べ、核保有国に核廃絶に向けた取り組みを要求した。
[時事通信社]
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