AI兵器戦「半年内に激変」=ドローン大群での攻勢示唆―民生と軍事「境界消滅」・ウクライナ副首相
【キーウ時事】ウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル転換相は22日までにインタビューに応じ、ロシアとの戦闘に関し「人工知能(AI)技術により半年以内に劇的な変化が起きる」と述べた。ウクライナはドローンなどの兵器開発を急いでおり、近く攻勢を強める可能性を示唆。AI兵器による攻撃は従来の戦争の在り方を一変させると強調した。
フェドロフ氏は、ウクライナ軍の攻撃用ドローン導入や政府のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進など、同国のデジタル戦略の司令塔。2019年にウクライナ史上最年少となる28歳で閣僚に就いた。
ロシア軍に物量で劣るウクライナ軍にとってドローン兵器は「救世主」との認識を示した上で、年内に100万機を製造する政府目標の達成は「全く問題ない」と明言。一部生産企業の国内部品調達率は最高7割程度に上ると説明した。
敵ドローンをAIが識別して攻撃するドローンを含めた兵器の大規模開発テストを進めていると指摘。「半年以内に大きな変化が感じられるだろう」と述べ、「ドローンの大群や誘導システム、兵たん予測などは(従来の戦闘とは)違う世界になる」と話した。
歯止めがかからない先端ハイテク技術の軍事転用には懸念も強いが、フェドロフ氏は電子レンジが軍事技術から生まれた例を挙げ、民生技術と軍事技術の「境界線は徐々になくなる」と予測。それぞれの技術が周辺分野の革新を「加速させる」と主張した。
一方、ウクライナは世界で初めて電子パスポートを導入した電子政府先進国だ。20年に始めた政府公認のスマートフォンアプリ「Diia(ディーア)」では、住民登録や納税、婚姻届などがオンラインでできる。フェドロフ氏は「世界で最も便利な行政サービスを提供する国をつくる」と、将来像を語った。
ロシア軍の攻撃で破壊された街の再現などは、実際の被害データと仮想空間での復元を組み合わせる「デジタルツイン」と呼ばれる技術を取り入れると説明。「復興にはAIとITが決定的に重要だ」と、政府のデジタル化がカギを握ると強調した。
[時事通信社]
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