新競技採用、普及に期待=安全性向上へ指導資格導入も―ブレイキン・パリ五輪
パリ五輪で初採用された新競技ブレイキン(ブレイクダンス)。日本からは世界トップクラスの選手が出場予定で、関係者は五輪をきっかけにさらなる普及が進むと期待する。一方、安全性を確保するため、指導者向けの資格を導入するなど新たな動きも出ている。
NPO法人「日本ブレイクダンス青少年育成協会」会長の草野真澄さん(43)は2012年、金沢市内でダンススクールを開設。富山、福岡でも開設し、3県計8カ所でヒップホップやブレイキンを指導してきた。
開設当初は会社勤めをしながら、仕事後に指導する生活を送っていた。当時の生徒は10人程度。「自分の育成力が低く、ずっと壁に当たっていた」と振り返る。技術的なことよりも、子どもたちがブレイキンを「楽しむこと」を意識したところ、生徒が増加。現在は約700人を指導する。
パリ五輪での採用が決定した際は「教育に取り入れられたり、企業に注目されたりして普及が加速するのでは」と喜んだという。
だが、ブレイキンでは、頭や片手だけで体を支えて回転したり、動きを急にストップさせたりする。けがの危険はゼロではなく、誰でも指導できる状態に不安を覚えた。「過剰に練習をさせて事故が起きて、後遺症が残ったら…」。より安全に取り組める環境をつくるため、今年2月、指導者向けの資格「ブレジュケーション」を設けた。
講習では、けがの実例を紹介するなどし、注意点などを学んでもらう。これまでに、ダンス教室の指導者や教員や保護者、医者など計約200人が資格を取得したという。
ブレイキンは、米ニューヨークの貧困地区で生まれ、暴力の代わりにダンスで勝負する「ダンスバトル」が発祥とされる。草野さんは「暴力的な表現も含まれる。指導者は歴史もしっかり理解した上で、子どもたちに教える必要がある」と訴えている。
[時事通信社]
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