仕事熱心な「女王」=ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長
欧州連合(EU)欧州委員会の庁舎内に住み込んで働くほどの仕事熱心さで知られる。ロシアの侵攻が続くウクライナへの支援などで指導力を発揮する一方、独断専行が目立つ「女王」(欧州メディア)の一面も。EU懐疑派が勢いを増す中、加盟各国の協調態勢を維持できるか、2期目の手腕が試される。
1958年生まれ。独北部ニーダーザクセン州首相も務めた父親が、EUの前身に当たる欧州経済共同体(EEC)などに勤務していたことから、幼少期をブリュッセルで過ごした。
90年にキリスト教民主同盟(CDU)入党。メルケル前首相の下で2005年に家庭相、13年にはドイツで女性初の国防相に就き、一時は「ポスト・メルケル」の最右翼と目された。
19年の欧州委員長選出は、欧州議会各会派の推す候補がいずれも多数派の支持を得られず、人選が難航。会派候補でなかったにもかかわらず、急きょEU首脳会議で指名され、女性初の欧州委員長となる。
委員長として気候変動対策やデジタル規制を進めたほか、コロナ禍を受けて大規模な経済再建策を打ち出した。ウクライナ支援と対ロ制裁でも主導的役割を果たし、22年から2年連続で米誌フォーブスの「世界で最も影響力のある女性」の1位に選ばれた。
半面、独閣僚時代から強引な手法であつれきを生むことも。委員長就任後も対中政策やイスラム組織ハマスによるイスラエル襲撃後の同国訪問など、加盟国の理解を得ないまま判断を下し反発を招いた。
医師免許を持ち、ドイツ語に加えてフランス語、英語も堪能。医師の夫との間に7人の子供がいる。65歳。
[時事通信社]
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