「救命した意味あった」=青葉被告の元主治医―京アニ事件5年
京都アニメーション放火殺人事件から18日で5年となるのを前に、発生直後から青葉真司被告(46)のやけどの治療に当たった元主治医で鳥取大病院高度救命救急センター長の上田敬博医師(52)が取材に応じ、「判決まで持っていけたのは大きい。救命した意味はあった」と語った。
現場にガソリンをまいて火を付けた直後、青葉被告自身も全身に重度のやけどを負った。搬送されてきた青葉被告を見た上田医師は「助ける自信はなかった。可能性は10%以下だと思った」という。しかし、「『死なせないでくれ』という(犠牲者の)声が聞こえてきたような気がして、『何が何でも助けないといけない』と感じた」。懸命な治療の末、青葉被告は一命を取り留めた。「容疑者であろうとなかろうと、救命するのが自分たちの職務。それをまず全うしようとした」と振り返る。
退院した青葉被告は逮捕、起訴され、今年1月、死刑判決を受けた。被告側は控訴している。
上田医師は4月ごろから、裁判について報じた新聞記事を一つ一つ読み返し、内容についての自身の思いを文字に残す作業を続けている。「自分は治療しただけだが、彼に向き合った自分の姿勢がどの程度伝わったのか」を確かめたいという思いからだ。死刑判決が出た後、面会のため拘置所を2度訪れたが、いずれも断られた。「謝罪の気持ちを持っているのか。犯した罪を後悔しているのか」。青葉被告にそれを問いたいと考えている。
[時事通信社]
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