芥川賞に朝比奈さん、松永さん=直木賞は一穂さん
第171回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞は朝比奈秋さん(43)の「サンショウウオの四十九日」と松永K三蔵さん(44)の「バリ山行」に決まった。直木賞は一穂ミチさん(46)の「ツミデミック」が選ばれた。贈呈式は8月下旬に都内で行われ、正賞の時計と副賞100万円が贈られる。
朝比奈さん、松永さんは初候補で受賞。「サンショウウオの四十九日」は、一つの体で生まれた結合双生児の姉妹が「自分とは何か」を自問する物語。「バリ山行」は中年男性が職場のベテラン社員に導かれ、道のない山を登ることに挑む。
芥川賞選考委員の川上未映子さんは、朝比奈さんに関し「小説にしかできない設定に挑んでおり、その文学的野心が評価された」と指摘。松永さんについては「人物の造形や登山の描写に説得力があり、地に足の着いた筆致で描いた」と話した。
一穂さんは候補3度目で受賞。「ツミデミック」は、パンデミックで人生を狂わされた人々を通し、不穏な世の中を浮き彫りにした短編集。
直木賞選考委員の三浦しをんさんは「各編バラエティーに富んだ味わい。登場人物それぞれの心情や境遇をリアルに描いた」と評価した。
[時事通信社]
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