大規模緩和と消費増税、当事者に聞く=日銀の14年上半期議事録(上)
日銀にとって2014年1~6月は、「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」導入から1年が経過し、「2年程度で2%」の物価上昇目標の実現に向けて4月の消費税増税をどう乗り越えるかが焦点となっていた時期だ。副総裁だった岩田規久男氏と審議委員だった白井さゆり氏に当時の議論について聞いた。
◇増税なければ2%達成できた
岩田規久男・元日銀副総裁
―2014年4月の消費税増税の影響をどうみていたか。
日銀副総裁になる以上、財政に口は出せなかったが、もともと増税したら駄目だと考えていた。6月ごろはまだ増税後のデータがはっきり出てきておらず、心配しつつも静観している状況だった。
―日銀は当時、15年度ごろの物価上昇率2%達成を予想していた。
インフレ期待に働き掛ける政策なので、日銀から予想を引っ張っていくような発信をしていた。はっきり心配し始めたのは8月ごろだ。増税で節約志向が始まり、消費が弱くなってきた。その頃から追加緩和の議論を雨宮正佳理事(当時)とし始めた。
―増税がなければ2%は達成できたか。
行けただろう。10月の追加緩和も要らなかった。年金生活者と非正規の低賃金者が増え、日本経済が消費税増税に弱くなっていたことをみんな十分理解していなかった。13年は好調だったが、すでに駆け込み需要が入っていた。すべて(積極緩和でデフレ脱却を目指す)リフレ政策のおかげだと少し過信していたという反省はある。
―今の日銀で2%は達成できそうか。
うまくやれば可能性はある。コストプッシュであっても人々のインフレ期待が上がれば、賃上げから企業の生産性向上への好循環が働く可能性がある。利上げについては、ゆっくりと進めるなら大丈夫だろう。
[時事通信社]
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