拡大するスケボーシーン=イメージ変化、環境充実―パリ五輪
今や世界トップの競技レベルを誇る日本のスケートボード。五輪で初採用された2021年東京大会以降、競技を取り巻く国内の環境は大きく変わった。若くして本場米国に渡り、自国開催で金メダルに輝いた男子ストリートの堀米雄斗(三井住友DSアセットマネジメント)は「スケボーを知ってくれる人が増えた。世界から注目される国になった」と実感を込める。
路上などで滑るスケーターのイメージもあって、世間からは冷たい目で見られることがあった。ただ、五輪を境に競技として受け入れられるようになり、長年競技を支えてきたムラサキスポーツの担当者は「昔は報道されたら悪い意味。今はプラスの方向」と言う。東京五輪では敗れた選手を励まし、たたえ合う姿が共感を呼んだ。
米国発祥の賞金大会Xゲームズが22年に日本に初上陸し、3日間で延べ4万人が来場。それを皮切りに昨年は世界最高峰のストリートリーグ(SLS)とストリート世界選手権の舞台として、日本が初めて選ばれた。米国のスター、ナイジャ・ヒューストンは「日本のスケートシーンは急速に大きくなった。五輪を開催した影響だろう」と驚く。
東京五輪後は各地でパークの新設が進む。ムラサキスポーツは昨年夏に東京都立川市に冷房完備の屋内施設を開業。今春には大阪府吹田市の商業施設「ららぽーと」内の大規模施設もオープンした。ともに国内トップ選手が練習に訪れ、一般客が彼らの技術を身近に感じられる利点もある。
裾野が広がる中、日本代表の西川隆監督は「この3年は、おらが街からオリンピック選手を出したいという状況になっている」と話す。実際に今回の代表の10人のうち9人が東京以外の出身。女子で初出場の赤間凛音や草木ひなの(スターツ)は地元のパークで鍛えて台頭し、トップクラスに躍り出た。パリで東京に続くメダルラッシュとなれば、全国の子供たちに向けてこれ以上ないアピールになる。
[時事通信社]
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