EVシフトで「脱自前」=日産・ルノーの関係焦点に―ホンダ
世界的に電気自動車(EV)シフトが進む中、ホンダが「自前路線」から脱却し、日産自動車との経営統合に踏み込む。バッテリーや車載ソフトなどの共同開発を加速させ、2040年までに世界販売の全車種をEVと燃料電池車(FCV)に切り替える目標の達成を目指す。ただ、日産は仏ルノーともEVで連携しており、両社の関係も今後の焦点となる。
「大胆に踏み込んだ変革が必要との認識を共有した」。ホンダの三部敏宏社長は23日の記者会見でこう語った。1948年の創業以来、他社と資本関係を結んだことはないが、米国や中国で急速に台頭する新興EVメーカーに対抗するため「協調路線」に転換した格好だ。
ホンダ、日産とも統合メリットを強調している。ホンダは本格的なEV普及に備え、エンジン関連の協力メーカーを売却するなどサプライチェーン(部品供給網)を見直したほか、400億円超を投じ、旭化成とともにカナダにバッテリー素材工場を建設。日産のEVバッテリーにも使用できれば販路拡大につながる。
一方、日産は北米で人気が高まるハイブリッド車(HV)の有力車種を持たないことが現在の苦境の一因となっている。ホンダは26年以降に新HVシステムを投入し、HV販売台数を30年までに倍増させる計画で、早大大学院の長内厚教授は「ホンダのHV技術を提供し、EV化の投資費用を補うことが重要だ」と指摘する。
ただ、日産はルノーのEV会社「アンペア」への出資も表明している。内田誠社長は23日の記者会見で、「ルノーとは事業別にシナジー効果があることを続けたい」と述べ、1999年から続く協業関係の維持を強調したが、ホンダとルノー双方に資源を振り向ければ、さらなる経営の重しとなり、戦略見直しを迫られる可能性もある。
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