ボランティア、やろうよ=おもてなしの心、胸に―聖火ランナーの垂見さん・パリ五輪
パリ五輪の聖火ランナーに選ばれた茨城県神栖市の会社員、垂見麻衣さん(36)は精力的にボランティア活動に携わり、東京大会の競技運営にも関わった。「スポーツボランティアへの関心が広がるきっかけになれば」との思いを込め、現地時間20日(日本時間同日夜)、パリ近郊を走る。
祖母が国体などを手伝っていたといい、幼少のころからボランティア活動は身近だった。「東京でまた五輪が開催されたら、おもてなししなさい」。祖母の言葉を胸に、2021年に開催された東京大会では、競技会場となった幕張メッセ(千葉市)でレスリングやテコンドーを担当、電光掲示板の操作などに当たった。
「来た人に楽しんでもらいたい」と、会場内の通り道に折り鶴を飾り付けるなど、自発的なおもてなしも行ったという。
東京大会では、コロナ禍ながら計7万人以上が参加したスポーツボランティア。その火を絶やさないため、垂見さんは仲間とオンライングループ「ハロー・ボランティア」を立ち上げ、ノウハウ共有や参加者のスキルアップなど裾野を広げる活動に取り組んでいる。
活動の中で海外ともつながり、22年の北京冬季大会開催前、現地の中国人ボランティアと交流した際には、コロナ下での開催への不安を聞いた。
東京大会のボランティアも「五輪をやってる場合か」などと非難された。批判的な視線を浴びながら活動する苦しみが理解できた垂見さん。仲間50人ほどに声を掛け、「加油(頑張れ)!」の応援メッセージを送った。オンライングループの共同代表、沢田健太郎さん(50)は「やろうよ、という最初の一言を言える」とその行動力に太鼓判を押す。
聖火ランナーの応募ではこれらの取り組みや熱意をPRし、垂見さんはトーチをつなぐ1万人の一人に選ばれた。パリ南東部の都市ムランで約200メートルを走る。
パリ大会でもボランティア活動に携わるという。日本では25年に聴覚障害者の五輪「デフリンピック」が、26年にはアジア大会が開催される。「おもてなしはまだまだ続く。自分にもできるよ、と伝えたい」と意気込む。
[時事通信社]
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