カタツムリ、どこへ?=近畿では半数が絶滅危機―市街地化や乾燥原因と識者
梅雨の時期、公園などでよく見掛けられたカタツムリの姿が少なくなっている。識者は市街地化の進展や乾燥化が原因と指摘。近畿地方では半数の種が絶滅の危機に直面しているとされ、移動能力に乏しいため、新たに緑地を設けても移るのが困難という。
カタツムリは貝の仲間で、日本には約800種生息する。滋賀県立琵琶湖博物館の中井克樹特別研究員は、各地で市街地化が進むことで、身近な場所でカタツムリが減少していると話す。粘液を使ってゆっくりと進む特性から、「近くに植樹などをしても、自力では移動できず、すみかとすることができない」と語る。
中井研究員によると、近畿地方にいる約200種のカタツムリのうち、約100種に絶滅の恐れがある。多くは山林などにいるが、酸性雨やシカの食害により、植生や土壌環境が変化していることが影響している可能性があるという。分布範囲が限られた種も多く、生息場所が1カ所でもなくなると、絶滅リスクが高まることが多い。ただ、中井氏は人の手でカタツムリを移すことについては「在来種の生態に影響を与える可能性がある」として慎重な姿勢を示す。
貝類の寄生虫を研究する東邦大学の脇司准教授は、減少の要因の一つとして「乾燥化」を挙げる。カタツムリは乾燥した環境に弱く、湿った落ち葉の裏などを好む。都市部の公園などでは落ち葉や朽ち木が除去されることが多く、「隠れる場所がなくなっている」と指摘する。
減少を防ぐには「今存在するカタツムリの生息場所を守り続けることが重要だ」と訴える。「現状を多くの人に知ってもらい、関心を持ってもらうことも大切」とし、「『セトウチマイマイ』や『イズモマイマイ』など、各地に固有の種がいる。まずは『ご当地カタツムリ』から親しみを持ってもらえれば」と語った。
[時事通信社]
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