2024-07-13 05:08社会

「隆起砂浜を地域の魅力に」=輪島の医師、14日に海開き―能登半島地震

広がった砂浜で話す大石賢斉さん(右)=6月21日、石川県輪島市町野町
広がった砂浜で話す大石賢斉さん(右)=6月21日、石川県輪島市町野町

 能登半島地震に伴う土砂崩れで一時孤立した石川県輪島市町野町。海岸の隆起に伴い広がった砂浜を地域の新たな魅力にしようと、地元の医師大石賢斉さん(43)が「浜開き」イベントを計画している。「海の日」前日の14日に開催し、ビーチバレーでの交流や屋台なども出店し地域を元気づける。
 滋賀県育ちの大石さんは、外科医として関西の病院に勤務。母の古里の町野町で診療所を営んでいた父が亡くなったのを機に、9年前、院長を継いだ。元日の地震発生後は道路が寸断されて町が孤立する中、居合わせた看護師らと近くの避難所で診療を続けた。
 国土地理院などによると、能登半島では今回の地震に伴い、広い範囲で海岸が隆起。その結果、町野町では砂浜が約2倍に広がった。
 この砂浜は、これまで海水浴にはほぼ使われていなかったが、県外などからのボランティアと清掃した際、「良い砂浜だ」と言われ、初めて魅力に気付いた大石さん。その魅力をさらに広めようと、メンバーでもある「町野復興プロジェクト実行委員会」としてイベントを企画し、準備に奔走した。
 イベントでは、参加者らで即席チームをつくり、ビーチバレーやビーチサッカーで対戦してもらう。砂浜に絵を描くパフォーマンスや、キッチンカーや屋台で飲食を出すほか、大だこ揚げも行う予定という。
 砂浜周辺を含め、町野町では今なお損壊家屋の取り壊しなどが続いているが、大石さんは山の崩落で倒れた木を使ったログハウスを町に建て、ビーチスポーツやサーフィンなどが一年を通じて楽しめる海の町に再生する夢を描く。「今は地域の仲間とわいわいするのが楽しい。楽しいことを追求すれば新しいものが生まれる。被災地だからこそ変われる」。 
[時事通信社]

能登半島地震前(写真上)の石川県輪島市町野町のビーチ。地震後(同下)に砂浜が広がっている(町野復興プロジェクト実行委員会提供)
能登半島地震前(写真上)の石川県輪島市町野町のビーチ。地震後(同下)に砂浜が広がっている(町野復興プロジェクト実行委員会提供)

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