特定秘密、保全意識浸透せず=海自突出、未遂事案も―艦艇勤務や人手不足も背景・防衛省処分
海上自衛隊の護衛艦などで計58件判明した安全保障に関する「特定秘密」の不適切な管理。件数は海自が突出しているが、航空自衛隊や統合幕僚監部、情報本部でも同種事案が確認され、保全意識が浸透していない実態があらわになった。
2014年の特定秘密保護法施行後、特定秘密の情報漏えいは、22年に海自幹部によるOBへの伝達が初めて明らかになったほか、今年4月にも海自と陸上自衛隊で各1件あったことが公表された。23年12月時点で政府が指定した特定秘密751件のうち、防衛省分は429件。最多とはいえ、違反が確認されたのは自衛隊だけだ。
今回指摘を受けたのは、身辺などを調べる「適性評価」を経ない隊員を、特定秘密を扱う業務に携わらせたのが大半だ。海自では艦艇38隻で、無資格の隊員が、航跡情報などの特定秘密が端末画面に表示された戦闘指揮所や艦橋で勤務していた。各艦長は無資格者を画面から遠ざけるなどしていたが、防衛省は「対応は不完全で、知られ得る状態をつくる時点で漏えいという認識がない」と指摘。幹部への教育がない海自の組織的問題が背景にあるとした。
取り扱い資格の期限などの認識不足による違反や未遂事案は空自や統幕でもあり、防衛省は隊員の知識確認試験や資格確認システム導入などの対策を検討している。
海自が違反件数で突出した背景には、艦艇勤務の特殊さや、人手不足もある。防衛省も、限られたスペースで勤務や生活をする艦艇は、物理的に情報の保全が難しいとし、▽定員割れで勤務に無資格者を配置せざるを得なかった▽海外派遣中に危険な状況が生じ、保全する余裕がなかった―などの事情があったケースも示した。
同省は保全区画へ入る職員全員への適性評価実施を目指すとし、海自で現在約3万人の有資格者をさらに2000人増やす方針だ。しかし、評価には時間や手間がかかり、募集難もあって達成は容易ではない。再発防止には人事も含めた総合的な対策が求められる。
[時事通信社]
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