環境活動家10人に禁錮刑=強まる弾圧、欧米が懸念―カンボジア
【バンコク時事】カンボジアの環境保護団体「マザー・ネーチャー・カンボジア」のメンバー10人が今月、国王に対する不敬罪と国家への陰謀の罪で、裁判所から最長で禁錮8年の刑を言い渡された。国連や欧米各国は、人権活動家への弾圧が強まっているとして懸念を表明した。
同団体は2012年創設で、カンボジアの経済発展に伴う環境破壊や人権侵害の問題を提起している。15年には中国企業が関与した水力発電用ダム建設を中止に追い込んだ。
政府批判に危機感を強めた当時のフン・セン政権は21年、メンバーらを不敬罪などで起訴。昨年首相の座を引き継いだ息子のフン・マネット政権も人権弾圧を続けた。
ロイター通信によると、首都プノンペンの裁判所は今月2日、マザー・ネーチャーのメンバー10人に禁錮6~8年を言い渡し、当局は5人の身柄を拘束した。判決には、既に国外追放された同団体の創設者も含まれた。
判決を受け、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)やカンボジアの米国大使館はX(旧ツイッター)で懸念を表明。欧州連合(EU)カンボジア代表部はフェイスブックで「活動家の迫害や逮捕が増加している。平和的な抗議の権利を含む人権の尊重を求める」と批判した。
ロイター通信に対し、カンボジア政府報道官は「犯罪者を対象としているだけで、政府を批判する人々が標的ではない」と述べ、弾圧を否定した。
[時事通信社]
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