強さ証明するパリへ=橋本、乗り越えた「苦しい3年」―体操・パリ五輪「最高の輝きへ」
19歳で初出場した2021年の東京五輪で、体操男子の橋本大輝(セントラルスポーツ)は個人総合と種目別鉄棒の2冠に輝いた。その後、22、23年の世界選手権で個人総合連覇を達成。パリ五輪はその強さを証明するための場所だ。
この3年間は「苦しさの方が多かった」。ルール変更に対応するため演技構成を見直し、練習は試行錯誤。人より難しい技ができるからこそ体への負担は大きく、両手首痛や腰の疲労骨折に見舞われた。今年5月には、右手中指の靱帯(じんたい)を損傷するアクシデントがあったばかりだ。
それでも、どんな時も歩みを止めなかった。けがの最中でも可能な限り体を動かし、技の改善につなげた。中指を痛めてからは平行棒のバーを握らない倒立技を繰り返し、バランス感覚を強化。6月中旬に本格的な練習を再開し、「動けるようになってきた」とほっとした表情を見せた。
五輪の男子個人総合連覇は過去4人だけ。日本選手では1968年メキシコ、72年ミュンヘン大会の加藤沢男と12年ロンドン、16年リオデジャネイロ大会の内村航平だけだ。連覇へのライバルになりそうなのは、21年世界選手権で橋本を抑えて優勝した張博恒(中国)くらい。つり輪や平行棒は相手に分があるだけに、残る4種目でより高得点を稼げるかがカギになる。
東京五輪の団体総合は、優勝したロシア・オリンピック委員会にわずか0.103点差の銀だった。その悔しさを糧に、パリでは種目別鉄棒の連覇を含む3冠を狙う。「今年活躍したスポーツは何か、と聞かれた人の全員に『体操』と言ってもらえるよう、頑張る」。コロナ禍の東京五輪では味わえなかった大観衆に囲まれた舞台を心待ちにしている。
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