けがした脚、仲間がかみ切る=米国のオオアリ―沖縄科技大など
米フロリダ州などに生息するオオアリ属の一種は、脚のももに相当する部分を負傷した場合、同じ巣の仲間が根元をかんで切断することが分かった。細菌感染で死ぬのを防ぐ効果があり、生まれつきの行動と考えられるという。スイス・ローザンヌ大とドイツ・ビュルツブルク大、沖縄科学技術大学院大の研究チームが詳細な観察や実験で解明し、9日までに米科学誌カレント・バイオロジー電子版に発表した。
仲間による手当て方法はけがの部位によって異なり、ももの場合は根元をかみ切るが、すねの場合は傷口を口で清めるだけとなる。対応が分かれるのは、傷口から入った細菌が体内に回るのをどれだけ早く防げるかが、部位によって違うためだ。もものけがを放置すると生存率は4割未満だが、根元で切断すると9割に上がるという。
アリの体内には血液やリンパ液などが合わさった「血リンパ」が流れており、ももの筋肉が循環に大事な役割を果たしている。ももをけがすると、この循環能力が低下し、傷口から細菌が体内に回るのも遅くなるため、仲間は時間がかかっても根元をかみ切る。これに対し、すねをけがした場合は根元をかんでいるうちに細菌が回ってしまうため、傷口から細菌が入るのを防ぐことに専念する。
研究チームは、オオアリ属の他種も同様の切断を行っている可能性があるとみて調べている。
[時事通信社]
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