左派連合が勝利=多数派形成、難航必至―マクロン氏は拒否反応・仏総選挙
【パリ時事】フランス国民議会(下院、定数577)総選挙の決選投票は7日、即日開票が行われ、急進政党「不屈のフランス(LFI)」を中心とする左派連合が勝利した。ただ、左派は過半数に程遠く、第2勢力に転落したマクロン大統領の中道連合との協力が不可欠。一方で、マクロン氏には、LFIを束ねるメランション氏に対して強い拒否反応があり、下院での多数派形成に向けた話し合いは難航必至だ。
「国民の意思は厳密に尊重されねばならない」。メランション氏は7日、最多議席を獲得した左派が次の内閣を担当するべきだと表明した。
仏メディアによると、主要陣営の獲得議席は左派が約180(改選前149)、中道が約160(同250)、極右・国民連合(RN)が143(同88)。対立する3陣営は選挙前に比べ勢力が均衡する形となり、多数確保を狙ったマクロン氏の思惑は外れた。
AFP通信によると、マクロン氏は8日、辞意を表明したアタル首相に当面の続投を要請。パリ五輪開幕を26日に控え、国内の安定を最優先した。
過半数をうかがう勢いだったRNが選挙最終盤で失速したのは、中道と左派が「極右の勝利阻止」で一致したからだ。両陣営は極右の対抗馬を200超の選挙区で一本化する戦術により、RNの議席数を上回ることができた。
しかし、中道の一部は共闘を疑問視した。左派は選挙戦で最低賃金の引き上げや定年延長の改革廃止を約束。欧州連合(EU)の規律違反が危ぶまれる規模の財政赤字が一段と増大する懸念があるからだ。「自由貿易協定(FTA)の終了」といった主張も掲げ、マクロン氏とは相いれない。
ルメール経済・財務相は決選投票前、共闘戦術に水を差すのも顧みず、「LFIは極右同様、国民にとって危険だ」と繰り返し訴えた。ルモンド紙によれば、マクロン氏すらメランション氏と手を組むより、RNの内閣樹立を容認して「統治能力が全くない」ことを示した方が得策だと考えた時期があるという。
パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスによる昨年10月のイスラエル攻撃を「テロ」と呼ぶのを拒否したメランション氏は「反ユダヤ主義者だ」と非難されてきた。マクロン氏は「極左」と切り捨て、中道支持者からは「革命を起こし、社会を混乱させようと企てている」(70代女性)と懸念する声が上がっている。
[時事通信社]
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