見せ場つくれず完敗=井岡、大差の判定負け―ボクシング世界戦
喜びを爆発させた統一王者に背を向け、リングを降りた井岡はゆっくりと花道を下がっていった。見せ場をほぼつくれないまま、0―3の判定負け。ジャッジの1人がフルマークをつける完敗に「全力で戦ってやり抜いた。それに尽きる。負けは受け止めている」。淡々と振り返った。
マルティネスに対し、井岡の作戦は徹底していた。相手の距離で強打をかいくぐりながらボディーを狙う。だが、16戦無敗の王者を一瞬、引かせたように見えてもすぐに回転の速いパンチで応戦された。回を重ねても有効打をなかなか与えられず、逆に井岡のガードが下がって被弾する場面が目立った。
同世代の世界ボクシング評議会(WBC)王者エストラーダ(メキシコ)との対戦を望み続け、「彼とできるのが一番のストーリーだと思っていた」。だが、ライバルは先に王座から陥落して統一戦実現は遠のいた。「ベルトに興味があるのではなく、選手に興味がある」と語ってきた井岡。それだけに、モチベーション低下が予想された中での今回の試合だった。
35歳になった井岡が「もしかしたら最後になるかもしれない」と覚悟して臨んだ一戦。日本男子で初めて4階級を制覇したベテランに、まだ燃える何かが残っているのか。「終わったばかりなので、そこまで考えられていない」と静かに語った。
[時事通信社]
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