欧州、イラン新政権と対話模索へ=IAEA監視への協力焦点
【ベルリン時事】改革派ペゼシュキアン氏が勝利したイラン大統領選。欧州諸国はイランの核開発に歯止めをかけるため、対話の道を模索する見通しだ。国際原子力機関(IAEA)は、ライシ大統領の急死後に中断した核施設の監視強化に向けた協議の早期再開を求めており、新政権の出方が焦点の一つだ。
トランプ政権下の米国が2018年に核合意から一方的に離脱した後、態度を硬化させたイラン保守強硬派のライシ政権は核開発を加速させてきた。最近では、ベテラン核査察官の受け入れを拒み、監視体制は「全く満足できない」(IAEAのグロッシ事務局長)水準に。この間、保有する高濃縮ウランは核爆弾3発分まで増えた。
英仏独や欧州連合(EU)は、米国とイランを仲介して核合意再建を目指してきた。対米欧関係を重視するペゼシュキアン政権誕生に伴う対話機運を実質的な協議につなげられるかが課題だ。ただ先月のIAEA理事会では欧州勢が対イラン非難決議を主導するなど、溝は深い。当面は、新政権がIAEAの監視・査察業務にどう応じるかが試金石となる。
識者の間では「イランが元の核合意の水準まで戻ると考えるのは単純すぎる」(独立系ジャーナリスト)との声も上がる。最高指導者ハメネイ師やイラン国会の多数派は対話路線に懐疑的で、米国では核合意をほごにしたトランプ前大統領が返り咲く可能性があり、合意再建の道は険しそうだ。
[時事通信社]
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