改革派ペゼシュキアン氏勝利=決選で保守強硬派破る―国際協調を重視・イラン大統領選
【イスタンブール時事】5日行われたイラン大統領選の決選投票で、内務省は6日、国際社会との対話を重視する改革派のペゼシュキアン元保健相(69)が勝利したと発表した。イランでは保守強硬派の最高指導者ハメネイ師が全権を握るものの、改革派の新政権が国際協調重視へ傾斜すれば、外交姿勢に変化をもたらす可能性もある。中東や国際社会との関係にも影響を与えそうだ。
今回の選挙は、5月に保守強硬派ライシ大統領がヘリコプター墜落で死亡したことを受けて実施された。穏健・改革派の大統領は、「文明間対話」を掲げて欧米との融和を模索した改革派ハタミ政権(1997~2005年)、欧米など主要国と15年に核合意を結んだ保守穏健派ロウハニ政権(13~21年)以来となる。任期は4年。
ペゼシュキアン氏は勝利確定後の6日、X(旧ツイッター)で「困難な前途は、あなた方の共感や信頼がなければ円滑にはならない」と国民の団結を呼び掛けた。一方、ハメネイ師は当選に祝意を示しつつ、「殉教者ライシ師の道を続けることで、国の可能性を最大限生かせる」と指摘。過度な融和をけん制してくぎを刺した形だ。
改革派と保守強硬派の争いとなった決選では、革命体制への反発などを理由にこれまで投票を拒んできた市民や、先月28日の第1回投票で敗れた他の保守強硬派支持層の動向が焦点となった。内務省によると、ペゼシュキアン氏の得票率は約53.6%。対抗馬のジャリリ元最高安全保障委員会事務局長(58)は約44.3%だった。
第1回の投票率は79年の革命以降で過去最低の約40%にとどまったが、決選では49.8%に上昇。ライシ師が勝利した21年の前回大統領選(48.8%)も上回った。長引く経済苦境への不満と体制批判の受け皿となったことで、改革派に有利に働いたとみられる。
ペゼシュキアン氏は、米国がトランプ前政権下で一方的に離脱して機能不全に陥っている核合意の再建に前向きで、対話による経済制裁の解除を主張。女性らの不満が強い頭髪を隠すスカーフ着用義務を巡っても、厳格な摘発に否定的な立場を示して支持を集めた。
[時事通信社]
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