2024-07-05 13:00

川崎重工、架空取引長期継続か=海自裏金接待疑惑で特別防衛監察―潜水艦乗員ら調査・防衛省

 海上自衛隊の潜水艦修理を巡り、川崎重工業が架空取引で捻出した裏金で海自隊員に金品や飲食の接待を行っていた疑いがある問題で、架空取引は長期にわたって続いていたとみられることが5日、関係者や同社への取材で分かった。裏金総額は十数億円規模に上るという。
 この問題を受け、木原稔防衛相は同日の閣議後記者会見で、事案の解明に向けた特別防衛監察を実施すると発表した。木原氏は「事実であれば厳正に対処すべき深刻な事案だ。国民の疑念を招かないよう早急に調査したい」と話した。
 関係者によると、裏金接待疑惑は大阪国税局の税務調査で判明。2023年3月期までの6年間で重加算税を含む約6億円の追徴課税を受けた。裏金づくりはそれ以前から長年行われていた可能性があるという。
 防衛省や川崎重工によると、不正な取引を行っていたのは同社神戸工場修繕部の従業員。海自潜水艦の修理作業をする際、下請け企業に資材を架空発注するなどして裏金をつくり、潜水艦乗員らに飲食させたり、商品券や日用品などを提供したりしていたという。 
 海自の保有する潜水艦のうち川崎重工製は12隻で、定期点検や修理などを随意契約で同社に発注。契約額は年間100億円を超える。作業の際はメーカー従業員が乗って乗員と一緒に行うこともあるという。
 特別防衛監察は防衛省・自衛隊の不祥事で外部を交えた客観的調査が解明に必要だと防衛相が判断した場合に行われる。南スーダンのPKO部隊日報問題や自衛隊内のハラスメント問題などで行われ、今回が7例目。
 防衛省は従来の調査と並行して実施し、海自潜水艦隊に所属する隊員らを中心に聞き取りなどを行うとみられる。
 また、川崎重工も不正取引を始めた時期や接待に関わった人物などについて、弁護士らによる特別調査委員会で調べ、年内にも結論を出す方針。
[時事通信社]

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