自民、「ポスト岸田」を連日投入=都議補選、にじむ危機感
東京都知事選と同じ7日に投開票される都議補選で、自民党が「ポスト岸田」候補を応援に投入している。補選の結果は岸田政権に対する評価や今後の国政選挙の目安になるため、注目度の高い弁士を使っててこ入れを図る狙いだ。ただ、派閥裏金事件の批判も意識してか周知は控えめ。思うように身動きが取れない現状も透けて見える。
「党に大変厳しい声が寄せられている。党改革、政治改革を進めなければいけない」。茂木敏充幹事長は4日、雨が降る中を東京都府中市で街頭演説し、裏金事件を受けた改革の取り組みをアピール。「私は晴れ男。雨が降っても地固まって投票日は晴れる」と聴衆に語りかけた。
石破茂元幹事長も同日夜、板橋区で街頭演説し、「今度の都議補選は非常に厳しい中で戦っている。何が何でも議席を確保しないと(いけない)」と訴えた。
都議補選は9選挙区で行われる。欠員が生じる前は自民は5議席を持っていたが、「厳しい戦い」(党関係者)と危機感が漂う。
そうした中、小泉進次郎元環境相が府中市や足立区などで、高市早苗経済安全保障担当相も足立区で遊説。苦戦を強いられる陣営から「SNS上の人気もあり、効果は大きい」(都選出国会議員)との声が上がる。
「ポスト岸田」候補の側とすれば、9月に想定される総裁選を見据えて自らの存在をアピールする機会になり得る。ただ、自民都連のホームページ上で応援演説の予定は公表されず、7月3日に八王子市に入った石破氏や小林鷹之前経済安保担当相は人数を絞った集会に出席。投開票が迫っても、なお足元の支援者固めに追われる様子もうかがえる。
現場では世論の逆風を正面から受ける場面もあった。河野太郎デジタル相は2日、足立区での街頭演説で一部聴衆から激しくやじられ、「選挙運動でユーチューブの再生回数を増やし、お金を稼ごうとの考えで選挙妨害に近いことをやる人が増えてきた。こういうやからを許してはならない」と激高気味に発言。翌日に記者団に「やから」との表現の意図を問われ、「言葉の選び方は慎重にしなければいけない」と釈明した。
[時事通信社]
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