帰還諦め戻らぬ住民=復興工事、用地取得が難航―熱海土石流、3日で3年
静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した土石流災害は3日で発生から3年となった。原則立ち入り禁止の警戒区域は10カ月前に解除されたが、帰還を諦めた世帯は少なくない。復興に向けた工事は、必要な用地取得が難航。再建の見通しは立っていない。
市は2022年に復興計画を策定し、被災地に公園や緑地、コミュニティーセンターなどを設ける考えを示している。県と市は計画に基づき、今年1月、崩落した盛り土が流れ下った逢初川の拡幅や市道整備に着手。だが、工事に伴う用地買収が完了したのは全体の6~7割程度だ。
線路下の工事については鉄道事業者との協議も続き、市は当初見込んだ工事完了時期を2年後ろ倒しし、27年3月に変更した。
二次災害の恐れがあるとして、原則立ち入りが禁じられた警戒区域は23年9月に解除された。ただ、同年4月時点で避難していた132世帯227人のうち、今年6月時点で元の場所に戻ったのは22世帯47人にとどまる。32世帯63人は避難を続け、帰還せず別の場所で暮らすことを決めた世帯は78世帯117人に上る。
土石流は21年7月3日午前10時半ごろ発生。大雨が降った逢初川最上流部付近に造成された盛り土が流れ下り、川沿いの家屋など136棟が被害を受け、災害関連死1人を含め28人が犠牲になった。遺族らは、盛り土が造成された土地の前・現所有者や県と市に賠償を求める訴訟を提起。県警は業務上過失致死容疑などで捜査を続けている。
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